本部 三宅陽一研究推進コーディネーターと水産技術研究所 鬼塚剛副部長が令和7年度日本水産学会論文賞を受賞しました。
掲載日:2026年 4月14日
日本水産学会英文誌「Fisheries Science」第91巻第3号に掲載された以下の論文が、令和7年度日本水産学会論文賞を受賞しました。授賞式は、令和8年度公益社団法人日本水産学会春季大会(東京海洋大学)期間中の2026年3月27日に執り行われました。
本論文は、水産研究・教育機構 水産技術研究所 環境・応用部門(現 環境・基盤部門)において、JSPS科研費 JP21K05763の助成を受けて実施された研究の成果です。

賞状を持つ三宅陽一 研究推進コーディネーターの写真
受賞論文名
Yoichi Miyake, Goh Onitsuka. Long-term statistics of the Karenia mikimotoi blooms in western Japan imply multidecadal intensification and phenological changes on the semi-national, regional, and local scales. Fisheries Science, 91, 603-619, (2025)
受賞日
2026年3月27日
論文の概要
有害なプランクトンによる赤潮は、沿岸海域で養殖されている魚類や貝類の大規模な斃死(へいし)被害を引き起こし、水産業に負の影響を及ぼしています。また、有害赤潮は、海水温上昇等により悪化することが懸念されています。しかしながら、我が国における有害赤潮の長期・広域統計を研究した例は,魚介類の斃死被害を発生させているカレニア・ミキモトイ(*1)を含めてほとんどありません。このため、過去30年間(1991−2020年)の赤潮年報から本種を対象としたデータセットを構築しました。トレンド分析から,西日本〜局所スケールにおいて、年間最大の赤潮細胞密度・発生日数が有意な増加傾向を示しました。西日本、瀬戸内海や九州海域の空間スケールでは、初発赤潮発生日(*2)が早期化傾向を示しました。西日本における本種赤潮の悪化・早期化が初めて明らかにされるとともに、これらの傾向は気候変動・エルニーニョ現象等に関係している可能性が考えられました。
*1 魚類と貝類の斃死被害を引き起こす有害な渦鞭毛藻
*2 対象年において最も早い赤潮の発生日
今後の展望
本研究成果は、本種赤潮の発生傾向の把握や赤潮対策の検討のための基礎情報として、水産業と学術界に貢献することが期待されます。今後は、本研究で開発されたデータ処理の方法を活用し、養殖業に大きな被害を及ぼすその他の有害プランクトンの長期・広域傾向について研究が進められる予定です。
学会名
日本水産学会
事業名等
JSPS 科研費「西日本における有害プランクトン赤潮発生海域の時空間変動とその要因の究明(JP21K05763)」