国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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2026(R08). 6.16 知床半島のオショロコマに残る「過去の交雑」の痕跡を解明

令和8年 6月16日

国立研究開発法人 水産研究・教育機構

東京大学大気海洋研究所

北海道大学

長野県諏訪湖環境研究センター

Eastern Michigan University

 

知床半島のオショロコマに残る「過去の交雑」の痕跡を解明

―小規模集団で同属異種由来のミトコンドリアDNAが残っている仕組みを解析―

  • 知床半島に生息するオショロコマにおいて、別種である「イワナ」に由来するミトコンドリアDNAをもつ個体が37河川中24河川で確認されました。
  • その由来は、現在進行中の交雑によるものではなく、過去の歴史的な交雑の痕跡であることがわかりました。

  • 「過去の交雑の痕跡」が現在まで残っている主な要因は、イワナ由来のDNAをもつ個体が生存に有利だったためではなく、小規模集団で働く「遺伝的浮動」によって維持されてきた可能性が高いことが示されました。

概要

 水産研究・教育機構の山本祥一郎グループ長らの研究グループは、東京大学大気海洋研究所、北海道大学、長野県諏訪湖環境研究センター、Eastern Michigan Universityと共同で、北海道知床半島のオショロコマ(Salvelinus curilus)集団に、現在その地域に定着していないイワナ(Salvelinus leucomaenis)由来のミトコンドリアDNAが残っている仕組みを解析しました。東アジアの全分布域を対象としたDNAの地域差を比べる解析(比較系統地理解析)と進化モデル解析の結果、この現象は過去の種間交雑の名残であることがわかりました。また、その痕跡が現在まで維持されてきたのは、小規模集団で働く「遺伝的浮動(偶然による遺伝子頻度の変動)」による可能性が高いことが示されました。本研究は、自然界で起こった歴史的交雑の痕跡がどのような条件で長く残りうるのかを示す成果であり、サケ科魚類の保全遺伝学にも新たな視点を与えるものです。

 

この研究成果は、2026年5月28日に、Biological Journal of the Linnean Society(DOI:10.1093/biolinnean/blag026)にオンライン掲載されました。
論文名:Tracing the origin and persistence of introgressive hybrids of two salmonid species, Salvelinus curilus and S. leucomaenis, in allopatric habitats
著者:Shoichiro Yamamoto, Shujuan Xia, Kousei Fukuzawa, Kentaro Morita, Satoshi Kitano, Masashi Sekino, Yoshiyuki Umatani, Uli Reinhardt, Koji Maekawa
所属 : 水産研究・教育機構, 東京大学大気海洋研究所, 北海道大学, 長野県諏訪湖環境研究センター, Eastern Michigan University

詳細(PDF:817KB)