国立研究開発法人 水産研究・教育機構

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2026(R08). 4.30 仔稚魚の動きを可視化する「階段チャート」―東シナ海のマアジの分散過程を解明―

令和8年 4月30日

京都大学白眉センター

京都大学大学院人間・環境学研究科

水産研究・教育機構

 

仔稚魚の動きを可視化する「階段チャート」

―東シナ海のマアジの分散過程を解明―

 

概要

 京都大学白眉センター坂本達也特定助教、大学院人間・環境学研究科武藤大知修士課程学生(研究当時)、石村豊穂教授、水産研究・教育機構からなる研究グループは、生まれて間もない海水魚の大陸棚上での移動経路を、個体ごとに復元する手法を開発しました。小さな仔稚魚の分散は個体群の維持やつながりを左右する重要な過程ですが、その動きを野外で直接追跡することは困難です。本研究では、魚の内耳にある耳石の高度な化学分析、海洋環境モデルおよび確率的な解析手法を組み合わせ、大陸棚環境を圧縮して断面として表現し、その中での移動を推定する、「階段チャート解析」を構築しました。この手法を東シナ海のマアジに適用した結果、深さ方向と沖合・沿岸方向の移動を同時に推定することに成功しました。その結果、成長の速い個体は沿岸側に移動して滞留し、他の個体は黒潮流路内にとどまり北方へ輸送されるなど、複数の分散戦略の存在が明らかになりました。これらの結果は、魚が流されるだけでなく、自らの行動によって移動範囲を調整している可能性を示唆します。本手法は魚類の初期分散過程の理解を前進させ、水産資源変動の仕組みの解明に貢献することが期待されます。本研究成果は、2026年4月30日に日本の国際学術誌「Fisheries Oceanography」にオンライン掲載されます。

 

階段チャートの解析の概要

階段チャート解析の概要:大陸棚上の海洋環境を数枚の断面に圧縮し、その中での魚の動きを捉える

 

詳細(PDF:813KB)