2026(R08). 2. 6 微小液滴技術を用いた海産微細藻類のハイスループットスクリーニングを実現 -有用餌料用微細藻類の効率的な探索が可能に-
令和8年 2月 6日
国立研究開発法人水産研究・教育機構
国立大学法人東京海洋大学
株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ
微小液滴技術を用いた海産微細藻類のハイスループットスクリーニングを実現
-有用餌料用微細藻類の効率的な探索が可能に-
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ポイント
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【概要】
水産研究・教育機構水産技術研究所の山本慧史任期付研究員、東京海洋大学学術研究院(水圏生物生産工学研究所)の小祝敬一郎准教授、株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズの片山悠里氏らによる研究グループは、効率的な微細藻類スクリーニングを可能にするプラットフォームを、微小液滴技術を活用することで開発しました。
海産養殖種の種苗生産では、産まれたての仔魚や幼生の成長を支える餌料用の微細藻類が欠かせません。しかし、自然界には膨大な種類の微細藻類が存在するにもかかわらず、実際に餌料として利用可能な種はごく一部に限られています。その背景には、新しい有用な餌料用微細藻類を見つけ出すための探索方法が、時間と手間のかかる従来技術に依存してきたという課題がありました。
本研究では、この課題を解決するため、マイクロ流路で作製した微小な液滴内に微生物を閉じ込めてアッセイ形を構築する「微小液滴技術」に着目し、微細藻類のハイスループットスクリーニングを可能にするプラットフォームの開発を目指しました。
研究の結果、直径約 0.1 mm の微小液滴内で、分類群の異なる様々な微細藻類を、従来の液体培養と遜色なく培養できることを確認しました。さらに、複数種が混合した微細藻類コミュニティを微小液滴によって 1 細胞レベルで区画化することで、種間競争を含む細胞間相互作用の影響を抑えられることが分かりました。これにより、もともとのコミュニティの種多様性を維持しながら、各種を個別に培養できることが明らかとなりました。実際に、本手法を用いて天然海域でスクリーニングを試みたところ、従来法と比較して約 2 倍の種数を採取することができました。本手法の特筆すべき点はそのハイスループット性にあり、1 分間あたり約 7 万細胞という速度で微細藻類細胞の分離を可能にしました。これは従来の手法と比較して、桁違いに高いスクリーニング効率であると言えます。
近年、微細藻類は、海産養殖業における高品質な餌料としてだけでなく、バイオ燃料、機能性食品、環境浄化など、さまざまな産業分野での利用が期待されています。本研究で開発した技術は、これら多様な用途に適した新規有用株の発見を加速し、将来的な水産業および関連産業の発展に貢献することが見込まれます。
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