新発見!電子タグから観たマアジの生活
公表日:2026年 2月18日
水産資源研究所 浮魚資源部 安田 十也
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東京湾のマアジは、秋から冬にかけて湾口部の深い海域に移動し、春から夏にかけて湾中央部へ戻る回遊パターンをもつことが、電子タグを使った調査により分かりました。冬には水深300メートルよりも深くへ移動する個体がいることも明らかになりました。 |
あじのひらきにアジフライ。マアジは私たちにとって身近な魚であり、マアジを使ったおかずはどれも和食の定番です。しかし、マアジの生態、特に日々の生活パターンは意外なほど知られていません。マアジに限ったことではありませんが、海の中を自由に泳ぐ魚を長時間見失わずに観察することは非常に難しいからです。
直接観察することが難しい動物の行動を研究するための技術のひとつにバイオロギングと呼ばれる方法があります。バイオロギングは、様々なセンサを搭載した電子タグを対象動物に装着し、行動や周辺環境の情報を時々刻々と記録する方法です。私たちは東京湾に生息するマアジの行動を調査するために、2022年11月にマアジ釣り場として有名な走水(横須賀市)周辺の海域で水深・水温・照度が測定できる電子タグをマアジに装着して放流しました。
放流からしばらくすると、漁業者や遊漁者の皆様から「タグのついたアジを見つけた」との連絡を頂きました。その後もご連絡が続き、再捕獲された場所は全て東京湾内でしたが、最長で放流後251日(翌年の7月まで)の行動を記録できたマアジも再捕獲されました。タグの回収にご協力頂いた皆様には改めてお礼申し上げます。
回収した電子タグには、これまで知られていなかったマアジのユニークな行動パターンが記録されていました。マアジは昼夜で生息水深を変えており、昼間に深く、夜に浅い水深で過ごしていました。また、季節によっても水深を変えており、冬になると浅い湾中央部から深い湾口部へ移動したと考えられました。放流した中で最も大きかった個体は水深300メートルを越える深さまで移動しており、冬の間に過ごす水深は体の大きさと関係している可能性もあります。その後、マアジの泳いだ水深は徐々に浅くなったことから、春になると再び湾中央部へ戻ったと考えられました。
水産研究・教育機構では様々な魚種・海域で電子タグを用いた調査を行っています。電子タグが付いた魚を発見した際には、電子タグのラベルまたは標識調査のページの問い合わせ先(マアジ)にぜひご連絡ください。
電子タグ調査は水産庁委託「水産資源調査・評価推進委託事業」によって実施されました。本研究を進めるにあたりJSPS科研費(21H04737および25K21736)の支援を受けました。
得られた成果は2026年2月18日付けで生物海洋学分野の国際学術誌 Fisheries Oceanography にオンライン版として掲載されました。本成果はどなたでもご覧いただけるオープンアクセス論文です。
表題:Vertical habitat use by Japanese jack mackerel Trachurus japonicus inferred from a biologging study in Tokyo Bay
著者:木下順二、藤波裕樹、井元順一、安田十也
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/fog.70035
標識放流調査のページ(QRコード)
URL:https://www.fra.go.jp/home/tagging/tagging-info.html
