第5回研究大会報告
沿岸域における漁船漁業ビジネスモデル研究会 第5回研究大会
沿岸漁業のビジネスパートナー
ー地域のスーパーと沿岸漁業の連携は如何にあるべきかー
開 催 報 告
平成27年11月30日、東京海洋大学白鷹館に於いて第5回研究大会が開催されました。昨年より多い184名の方々にご参加頂き、盛況のうちに終了させて頂くことができました。
ここに、開催概要をご報告致します。佐野雅昭(鹿児島大学)
■国産水産物の魅力は「多種多様」「新鮮」「味(おいしさ)」である。
第二部 パネルディスカッション
パネリスト
齋藤 仁((株)マイヤ)、中村義昭((株)エレナ)、山口憲一郎(鹿児島市水産物卸売協同組合)、泉澤宏(網代漁業)、
佐野雅昭(鹿児島大学)、後藤友明(ビジネスモデル研究会)
左から、岡野、佐野、泉澤、山口、中村、斎藤、後藤(敬称略)
テーマ1 「沿岸魚に対する消費者ニーズをどう見るか

岡野氏
岡野「沿岸魚に対する消費者ニーズについて、議論していただきたい。」
佐野「消費者は新鮮で美味しい物を食べたいと思っている。美味しさ、食の豊かさを提供することが小売業の使命ではないか。」
中村「スーパーの水産物売り場の地物コーナーは、鮮度、季節感をアピールすることが出来る格好の場。対面販売することは魅力だが、人件費がかかる。」
斉藤「エビ、カニ以外の魚介類の需要が下がっているとは感じないが、購入客単価は下がっており、イベント時と日常で購入金額の差が激しくなっている。」
岡野「仕入の際、どの魚種を揃えるかは上層部で決めているのか、それともバイヤーの判断で決めているのかお聞きしたい。」
中村・斉藤「自社ではバイヤー個々の判断で、その日の仕入れ魚種を決めている。」
山口「私の地域では、店側で決められた物だけを購入していく傾向。臨機応変に購入してくれないかと思っている。その日の良い物を選んで購入してもらいたい。」
泉澤「自社では、六次産業化の取り組みの一環で漁獲物の販売、飲食店の経営も手がけている。魚の販売、店の経営は獲ることより大変。人件費、流通コストを考えると儲かっているとは言えないが、この取り組みを通じて消費者が沿岸魚に興味を持っていることは感じる。」
岡野「産地市場で魚を購入する際、漁業者の収入も考えて購入しているか。

中村氏
中村「ほとんどの小売業は考えていない。自社ではローカルスーパーが生き残る方法は産地市場で鮮度が良く季節感がある魚を魅力にして売るしかないと考えている。高鮮度で良い物は規格外でも購入し販売している。
斉藤「マニュアル化された店の方針が一番邪魔。経営が上手くいっている店は、規格等の縛りにとらわれず、サイズが不揃いでも高鮮度のものであれば購入し販売している。このやり方は漁業者のためにもなると考える。」
岡野「地方行政(水産部局)は生産者側に立って事業に取り組むことが多いと考えるが、消費者のニーズをどのように把握しているか。」
後藤「消費者ニーズの把握は難しいと日々感じている。県の立場では漁業者側に向くことが多い。岩手県は水揚げした魚をWEBで公開し、情報を消費者に伝えているが、逆方向の情報入手はできていない。」
テーマ2 「沿岸魚の販売拡大に向けた取り組み」

泉澤氏
泉澤「六次産業化の取り組みを自社で行っているが、販売拡大にまでは繋がっていない。良い物と認識されつつもなかなか価格に結びつかない。六次産業化は漁業者の時間、手間を犠牲にして成り立っている。」
山口「鹿児島では市場、仲買、小売が協力して魚食普及活動を行っている。魚食普及活動で、消費者に魚を食べてもらい、小売は消費者の声を聞くことが出来る。また、消費者からの声が仲買、市場にも届くといった相乗効果も見られている。」
中村「弊害はマニュアル化すること。小売は美味しい物を食卓に届けるという信念がなければならない。
マニュアルに縛られた受注発注ではなく、お客様に喜んでもらうことを考えるべき。」
テーマ3 「生産サイドと流通サイドの連携のあり方」

後藤氏
会場から「私の地元では生産者、流通販売、消費者との間でミスマッチがある。たとえば、漁業者は漁協が決めた規格で箱詰め出荷するが、仲買人が購入後又箱詰めし直す。それぞれ不満に思っても話をしないので進歩がない。鹿児島ではこの様な問題を解決する場があるか。」

山口氏
第三部 統括 堀川博史(開発調査センター)
これまでの水産研究は、漁獲物をいかに単価向上させるかという分野について積極的には行われていなかった。そこで第3回研究大会より漁獲物の単価を向上させるためには何が必要になるか、パネリスト、参加者とともに議論してきた。本日の討論では、生産者とスーパーが連携して地方漁港で水揚げした魚を地方のスーパーで販売して行こうという内容で議論できたと思う。しかしながら、都市圏の最終顧客には沿岸魚をどう届けるかという課題が、まだ議論されていないと考える。
